アジャイルレトロスペクティブズを読みました
スクラム現場ガイドに引き続き、今回はアジャイルレトロスペクティブズです。日本語では「ふりかえり」ですね。
スクラムでもいくつかスクラムイベントが定義されてますが、その中でもこのふりかえりが一番大事なんじゃないかなと思ってきました。
アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き
- 作者: Esther Derby,Diana Larsen,角征典
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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レトロスペクティブの基本は、以下の構成に従ってるようです。
- 場を設定する
- データを収集する
- アイデアを出す
- 何をすべきかを決定する
- レトロスペクティブを終了する
以下、それぞれ気になったことを簡単にピックアップ。
1.1 場を設定する
チームの約束(ワーキングアグリーメント)を最初に定めておいた方がいいと書かれてました。同時に、なぜワーキングアグリーメントが必要なのかの説明も。
基本的にはワーキングアグリーメントはチームそれぞれに特有のものになるから、他のチームがこうだからうちも真似しよう、というのはあまり意味がありません。とはいっても、どんなものを設定していいか、最初はよくイメージできないと思います。なので、うちのチームでは、下記のサイトを参考にさせてもらい、その上で自分たち特有のルールを話し合って決めました*1。
3.2 集団ダイナミクスの管理
「集団ダイナミクス」と言われるとちょっと分かりづらいですが、「集団力学」もしくは「グループダイナミクス」と言われることが多いみたい。詳しくは、グループ・ダイナミックス(グループ・ダイナミックス)とは - コトバンクとかを。
集団ダイナミクスを管理する際の一つのアドバイスとして、「あなたが言葉」ではなく「私が言葉」を使っていこうとあります*2。例として、
OK:あるチームメンバーがビルドを壊したメンバーを非難した。「お前がちゃんとやってれば目標を達成できたんだよ!」
NG:「私が怒っているのは、目標を達成できなかったことだ。あのビルドを修正するのはとても厄介なんだよ」
な感じ。相手を一方的に決めつけるのではなく、自分がどう感じたかをもとに話を進める。ファシリテーションの文脈でも結構大事な要素だと思います。
その他にも、参加者の感情の変化について、注意が必要な状況とその対処方法についても述べられてます。具体的には、下記のような行動を参加者が取った場合。
- 涙
- 怒鳴る
- 部屋を出て行く
- 不適切な笑い・おどけ
自分も心の準備なくこういう状況に遭遇するとすぐにテンパるので、予めシミュレーションしておくことは効果的だと思いました。
5.1 タイムライン
ここからは、レトロスペクティブを構成する各アクティビティの紹介。
タイムラインは、チーム内のイベントを思い出して、年表形式に洗い出していくもの。割りとイメージしやすいしGWで少し区切りができるので、さっそく使ってみました。
毎スプリントレトロスペクティブでやるというよりは、ちょっと長めの区切りでやった方がいいかなと思います。実際、うちのチームでやったときも1月から4月末までを思い出す目的で行いました。
6.6 ドットによる優先付け
出てきたアイデアのうち、どれを選択するかを決めるときに使う手法。参加者が、決められた数の投票権をドットとして持ち、アイデアにドット投票していくやり方です。
これもさっそく採用しました。うちは基本的に拠点が分散してるので、あまり複雑な手法は取りづらいのですが、これはドットを書いていくだけでいいので、シンプルに導入できました。
7.2 SMARTな目標
- Specific (明確な)
- Measurable (計測可能な)
- Attainable (達成可能な)
- Relevant (適切な)
- Timely (タイムリーな)
の頭文字をとって、SMARTらしいです。
まあ個々はさておき、「計測可能な」というのが一番重要だと思ってます。計測できないと、達成できたかどうか分からなくて、結局流されてしまいますしね。
というわけで、何か目標を立てる際は「計測可能かどうか」を常に意識するようになりました。常に「計測可能なこと」が一番ですが、たとえ「計測可能かどうかちょっと曖昧」な状態でも、それを踏まえて次のふりかえりで問題があったかどうかを考えるようにしています。その結果、やっぱり計測可能にした方がいいと判断したら、改めて考えなおすことに。
7.4 短い話題
ここで、ふりかえりの手法として有名なKPTも挙げられています。
ただ、ここで触れられていたのは、こればかりやってると飽きがくるよとも言われてます。
イテレーションごとにレトロスペクティブを開いていると、1~2週間のインクリメントなどの短いイテレーションのときは特に、毎度おなじみのアクティビティにチームは飽きてしまう。
あまり色々やって、チームが新しいものに疲弊してもあれなので、飽きがこない程度にちょっとずつ新しいものを取り入れるなり、区切りでは別のアクティビティをやるなりを考えようと思います。
付録B 感想を聞くアクティビティ
ふりかえり中に問題を深堀りしていくことや、(ポジティブ・ネガティブ問わず)何かしらの意見を聞きたいことがあります。けど、「何で?」ばかり連発してても、聞いてる方は萎縮するときがあります。
このときのうまい質問方法について、少しだけ紹介されてました。何も意見が出てこないときに「何か一つだけ感想を述べるとしたら?」とか、まったく別の考え方をしてもらうために「もしも〜だったら」とか。
と、この辺のを読んでたときに、グッドタイミングで目に入ってきたので、また紹介しておきます。
最後に、ファシリテーションについての参考資料として、- プロジェクトファシリテーションTOPが紹介されていました。今更ながらちゃんと読んでみて、そういやKPTの正しいやり方も知らずに亜流でやってたのがかなり凹む・・・。ちゃんと読んでおきます。