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「リーンスタートアップ」を読みました

書評

確か『「ユーザーストーリーマッピング」を読みました - @ikikko のはてなブログ』でMVP(Minimum Viable Product)という言葉が出てきて、その言葉をもうちょっと確認したくて、この本を手に取ってみました。

リーン・スタートアップ

リーン・スタートアップ

はじめに

  1. アントレプレナーはあらゆるところにいる
  2. 企業とはマネジメントである
  3. 検証による学び
  4. 構築・計測・学習
  5. 革新会計

上記のリーンスタートアップの5原則のうち、太字にした 3, 4 が今の自分にささってます。要するに、作りっぱなではなく、ちゃんと検証したり計測・学習しようねということだと理解してます。

第4章 実験

「とりあえず製品をリリースして様子を見よう」という方針で進むと、このような問題に悩まされがちだ。私はこの方針をナイキの有名なスローガンにちなんで「Just Do It(やってみよう)」型企業と呼ぶ。この方針に従うと様子を見ることには必ず成功するが、検証による学びが得られるとはかぎらない。失敗がなければ学びもないーそれが科学的手法の教えるところなのだ。

あー、やりがちだし分かる。「様子を見よう」ってのは、思考停止の兆候なのかもしれない。

「様子を見る」ってのは、つまり「何を検証したいか」・ひいては「どうあって欲しいか」というゴールをちゃんと考えきれていないということなのかな?ゴールがゆるふわな状態でのアクションは、結局そのアクションがゴールに結びついてるかどうか分からないという状態になりかねないと思ってます。なので、「様子を見る」というアクションは極力取らないようにしよう。

第6章 構築・検証

MVPに対して、「作り込みすぎたり約束しすぎたりという衝動をいかに抑える」ための実例が参考になった。エンジニア目線だとどうしても自動化・ソフトウェア化が一番のMinimumだと思い込みがちだけど、それよりもっと手前に、コンセプトに価値があるかを検証できる手段はあるよということ。

  • 動画型MVP:Dropboxの実例
    • 優れた体験をプロトタイプででも提供するのは困難と判断して、動画でコンセプトを説明
  • コンシェルジュ型MVP:Food on the Tableという、自分や家族の好みに応じて1週間の献立と食材のリストを作ってくれるサービスの実例
    • レシピ作成を最初からソフトウェアで自動化するのではなく、文字通り中の人として顧客の自宅まで出向いて欲しい献立を対面で確認して、それをもとにレシピを手動で作成

あとは、品質についてのこの原理も、なるほどと思いました。

誰が顧客なのかがわからなければ、何が品質なのかもわからない。

第7章 計測

コホート分析なるものが気になりました。こっち方面ド素人なんですが、これ結構いい指標なんじゃないだろうか。総数などに紛らわされずに、同じ指標でアクションの結果を計測していけそう。Mixpanel上で、これっぽいやつが実現できるかは不明(Retentionが近そうだけど)なので、だれか教えろください。もしくは、社内のその筋の人に聞いてみよう。

コホート分析の場合、総売上や総顧客数のような総計あるいは累積値を見るのではなく、製品と新しく接する顧客グループの成績を個別に見る。

...

さて、このグラフをよく見るといくつかのトレンドが読み取れる。製品の改良はわずかだが効いている。我々の製品を5回以上使う人は5%以下から20%近くまで増えた。しかし、この部分が4倍になってもIMVUを買ってくれる顧客の割合は1%前後で変わらない。

...

これはコホート分析なので、古い製品の第一印象に顧客がとらわれているんじゃないかとか、外部環境がよくないとか、そういう言い訳はできない。

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あとは、スプリットテスト(A/Bテスト)とカンバンについてが面白かったです。「Xという機能をリリースしたとき、それは顧客の行動に影響を与えたか」を、スプリットテストなしでは測るのが難しい・コストがかかるけど、スプリットテストを実行するとこの辺が分かりやすくなる、とのこと。カンバンは、WIPの制限などはまあいわゆるカンバンの定義そのままなのですが、ステータスの一種に「構築完了」後に「検証中」を用意して、機能のユーザ価値まで検証を強制してるのがいいなと思いました。詳しくは、図を見てもらうと。

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第10章 成長

3種の成長エンジンというのが気になりました。3種全部備えた事業もあるけど、原則としてはどれか1種に集中してそのエンジンをチューニングすることにかけた方がいいよとのこと。

  • 粘着型成長エンジン
    • 一度顧客が使い始めるとずっと使ってくれることを念頭においた事業・ビジネスモデル。なので、解約率を指標とする。
  • ウイルス型成長エンジン
    • 顧客が使うにつれて自然と広まっていくような事業・ビジネスモデル。ウイルス係数(顧客一人あたり何人の友達を連れてくるか)が大事になり、1.0(=1人当たり1人を連れてくる)を境に指数関数的に成長し始める。
  • 支出型成長エンジン
    • 顧客を獲得するのに必要な支出と売上が相関してるような事業・ビジネスモデル。成長にあたって、顧客当たりの支出を抑える or 売上を増やすのどちらか。

今のうちのサービスだと、どれに該当するのだろう?粘着型:ウイルス型が 7:3 ぐらいかな。ITSやチャットなどのコミュニケーションツールは、ナレッジがたまると乗り換えコストが高く、ずっと使い続けた方がいい粘着型。かつ、組織の外部の人と使う際は一緒に使って自然と広まっていく、ウイルス型の側面もあるので。


どんぴしゃ自分が向かう分野ではないかもだけど、この辺の人たちと同じ文脈・同じ言葉で話せるようにという意味では、まあ読んで損はなかった本かなという気がしてます。あと、正直最後の方は息切れしたので、また別の機会に読み直してみたいです。