「ファシリテーション・グラフィック」を読みました

ミーティングの内容が同じところを堂々巡りしてたり、結局何を話してたんだっけってなったりで、なんとなーく空中戦が多いなと感じてたので。空中戦を避けて、議論を見える化するための引き出しの一つとして読んでみました。


うちは拠点が分散してるのもあって、ホワイトボードを使うことは少なく、代わりにデジタルなツールを使うことが多いです。その辺は、下記のスライドでも紹介してました。距離が分散してる場所でも使えることや、ある程度定形のフォーマットがあるミーティング(例えば、ふりかえりのKPTなど)、きれいに整形して記録として残しておきたい・コピペ的な流用が多い場合は、デジタルツールはやはり便利ですね。

speakerdeck.com

ただ、やっぱデジタルだと使うのに一手間かかることも多く、柔軟性がない。具体的には、フリーハンドでグリグリ書いたり何かと関連づけたりが、どうしても1テンポ遅れて、なんか思考に直結しないというのを感じてました*1。で、結局ツールを使うのにもたもたしてる間に、口頭で話進んでいって、しばらくすると空中戦になったりーの。

その辺を打開すべく、お世話になってる関西弁のコーチがよくホワイトボード使ってるのを見て、自分もやってみようと思ったのがきっかけ。まだまだ試行錯誤してる段階ですが、最近ではビデオ会議システムでホワイトボードを映して、僕がホワイトボードに話しながら書くのを別拠点の人に配信するというやり方もちょいちょいやってます。結局参加してるみんながホワイトボードに書くわけではないことが多いので、このやり方でも結構うまくいきますね。

第1章 基礎編 議論を書けば話し合いが変わる

発言の中の言葉を活かす

よくある失敗は、体言止めを使って一般的な用語に置き換えてしまうケースです。たとえば「そもそも、この商品が持っている機能が、狙っていた顧客層になっていないのではないでしょうか?」という発言を「商品コンセプトの問題」と要約してしまうのです。

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なるべくメンバーが使った言葉をそのまま使い、キーワードをうまくつなげて要約文をつくりましょう(例:機能がユーザーに合っていない?)

あ、これ前までよくやりがちでした。きれいにまとめようとして、いい感じの言葉に置き換えようとしてしまうんですよね。けど、この箇所を読んでから、ちゃんと発言そのまま活かして、疑問形ならば「?」をつけることで表すようになりました。

Column-3 準備してきたものを手放す勇気を持とう

ファシリテーターともなれば、前もって議論の展開を考え、使えそうなツールを思い描いて場に臨むのは当たり前の話です。だからといって、それを会議が始まるなり押し付けるのは、あまり関心しません。

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事前の準備は大切ですが、用意してきたものを使うかどうかは、場の状況を見て決めるものです。人はどうしても準備してきたものを使いたくなりますが、それを潔く手放す勇気を持ってください。

これも、最初のほうは自信のなさからよくやってた気がします。が、今はある程度経験を積んだのをふまえて、頭の中に思い描いた道筋はあるものの、まずは相手の疑問や話したいことを話してもらうというのをやれるようになってきました。相手が特に話したいことがなかったり、自分が思い描いたものと同じ方向性ならば、準備どおりに進められるし、別の方向にいったのであればそれはそれで有意義な方向なのでそれを尊重しつつ議論を進めるように(頭の中はかなりフル回転してますが)。

第2章 技術編 ファシリテーション・グラフィック上達の6つのポイント

この章はテクニック的な話。いくつかあるのですが、知っておくだけで簡単に活かせるのは、この辺かな。

見やすい字を確認は、ゴシック体を意識して書くのがコツです。四角のマスに字を埋めていくつもりで書いていくのです。大半の人は四角ばった文字を書くと安定した感じになります。

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ペンの太いほう(太字角芯)を使って字を書くようにしてください。

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基本は「横線を細く、縦線を太く」です。そうすると、安定した文字に見えます。そのためにはペンを図2ー17のように持ち、ペン先の角をうまく使って横線/縦線を描くようにしてください。字の上手下手ではなく、書き方のちょっとした気配りで、とても読みやすくなるのです。

図がないので、ここだけ読んでもいまいちぴんと来ないでしょうが、ともかく「両方とも細い部分で書かないように」「横線描くときは細く、縦線描くときに太く」なるようにペンを握ります。実際にやってみたイメージは↓な感じ(左が意識した方で、右が今までの書き方)。学生の頃から、自分で書いたノートが汚くて読めない自分が、これ意識するだけで「字が見やすい」と言われるようになっちゃいましたw

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あとは、色の使い分けの指針とかも。感覚では何となく分かっていたものの、こうやって明記されると判断しやすいです。

  • <黒> 大半の文章や図解を描く
  • <赤> 重要なタイトルを枠で囲む、重要なキーワードに下線を引く、特に注意を引きたい文を描く
  • <青> 少し目立たせたい文を書く、囲み図形を描く
  • <緑> 補足事項を書く、囲み図形を描く

他には、箇条書きや囲み・矢印・つなぎ方など、単調になりがちなところをいくつか例示してるところが参考になりました。一度素振りしてたけど、もうちょっと定着させてぱぱっと出せるようになるために、また素振りしとこうかな。

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第4章 研究編 ファシリテーターの頭の中を解剖する!?

説明しづらいけど、この章はかなり参考になる。最終的にできあがったホワイトボードや模造紙だけでなく、議論の流れと一緒に描いてる途中経過も説明しながらどういう流れでできあがったかを、幾つかのサンプル事例を見せてくれる章。

パーキングロット

色々参考にはなったのですが、やっぱりというか「パーキングロット」の技は使えるなという印象。

あまり今の議論に関係なさそうなやつを隅の方に一応書き留めておくやつですが、こうやっておくと本来議論したいところに戻ってきやすいってのは、結構経験しています。それでいて、発言者もまったく流されたわけじゃないという受け止めができるので、結構オススメ。

ゴールの明示

ゴールがどこまでか設定してなくて、結局終了時間になっても何も決まってない、ってのをよくやりがち。予めゴールは考えておいて、それを明示しておきつつ共通認識を合わせるっての大事。

逆に、ゴールをちゃんと決めておけば、時間がこなくてももうさくっと終われる。これ、精神衛生上にもいいんですよね。もちろん、時間をムダにしないっていう点でも。

ファシリテーターって誰でもできる?

で、この章見ながら感じたのですが、ファシリテーションはある程度スキルがいりそう。聴きながら、描いていく。分かりやすくするためには多少なりとも描き方にコツがいるし、シミュレーションなど事前準備も結構大事。これを、メンバーでやるのっていけるんだろうか?まあ最初はやっておいて、やり方見せていけばだんだんできるものなのかな?

まあ、0か1か、いつもファシリテーターがいる or いらないというものではないですね。ある程度込み入ったミーティングになりそうな場合は、別途慣れた人がファシリテーターとして入って(今の状況だと多分自分)、そうじゃない定例的なものは他の人でもできるようにしていくのが健全そう。


ある程度想定の上で読んだのですが、今の自分にとってはテクニック寄りな内容が多かったです。テクニック系は、状況にはまれば即効性は高いので、使い所を間違わないように活用していきたいですね。

実際に、この本の内容を実践した後、「ホワイトボードの字がきれいですね」って言われたことがありました。自分が取ったノートすら、字が汚くて後から読めないこの僕がですよ。それだけでも、効果のほどは分かるんじゃないかと。

*1:ちなみに、ホワイトボードではないけど、似たような役割のものに付箋があると思ってます。以前あった例では、Google spreadsheetでプロダクトバックログ的なのを書いて議論しようとしてたのですが、頭にはいってこないこない。で、全部付箋に書き出して、それを順番入れ替えたり別の付箋でグルーピングしたりしながら話出すと、かなり頭が整理されて一気に話が進んだということもありました。