あるイソップ童話からの教訓

あらすじ

あるとき、北風と太陽が力比べをしようとする。そこで、旅人の上着を脱がせることができるか、という勝負をする。

  1. まず、北風が力いっぱい吹いて上着を吹き飛ばそうとする。しかし寒さを嫌った旅人が上着をしっかり押さえてしまい、北風は旅人の服を脱がせることができなかった。
  2. 次に、太陽が燦燦と照りつけた。すると旅人は暑さに耐え切れず、今度は自分から上着を脱いでしまった。

これで、勝負は太陽の勝ちとなった。


教訓

手っ取り早く乱暴に物事を片付けてしまおうとするよりも、ゆっくり着実に行なう方が、最終的に大きな効果を得ることができる。


北風と太陽 - Wikipedia

大多数の皆さんがよく知っている、あるイソップ童話のお話です。で、この童話が今回話すことにどう関わってくるかはおいおい分かるので、続きをどうぞ。

色々な対策が打ち出されているが、その中で下っ端の俺に最も影響が出ているのは「元請-協力会社間の指示系統一本化」というヤツ。


これは名前の通りで、元請会社と協力会社間で対話をしていいのは一人だけ、ということ。例えば、元請の社員が協力会社の下っ端である俺に直接作業指示をするのはご法度。これ自体は最近の流れからいって仕方ないのだが、どんな些細なことでも会社間のインタフェース役を介さずに「お願い」してはならない。

偽装派遣対策がやってきた - kagamihogeのblog

この「元請-協力会社間の指示系統一本化」に限らず、最近いろいろ対策・規制が出てきています。で、この規制って、↑のイソップ童話で言ったら、北風なんですよね。とにかく物事を締め付ける方向にしか進まない。


けど、締め付けるってことは、便利なものを制限するということです。効率的なものを外的な要因で制限されるということに対して、人はモチベーションがダウンしたり、抜け道を探そうとしたり*1、最悪従わなくなることも考えられます。特に理論で物事を考える傾向が強い、エンジニアはこれが顕著に現れる気が。


そうなったら、本末転倒ですよね。規制によってがんじがらめに縛られたために、システム開発の効率・品質が下がりましたって…。


それよりかは、太陽に習って、

「あなた自身が事の善悪を判断して行動してください。効率化や品質向上は、その判断に基づいた行動ならば推奨します。」

という流れの方が、エンジニアに責任感を植えつけることができると同時に、モチベーションアップにもつながらないですかね?いや、単純過ぎるのは重々承知してますがw

ぶっちゃけていえば、アジャイルの超否定。オンサイトカスタマー?そんなことしたらルール違反で干されてしまいますって。

偽装派遣対策がやってきた - kagamihogeのblog

別に全肯定するつもりはないのですが、アジャイルの中にもシステム開発の効率化・品質向上に十二分に貢献するものがあるのも事実。それを、(担当者の視点から見て)どうでもいい規則のようなもので制限されるのはほんとに何だかなぁ…って感じ。



ま、ただ太陽政策を推し進めればいいという問題ではないかとも思いますが。大人の事情が絡んでくるってのも、頭では多少なりとも分かっているつもりですし。


例えば、北風政策を取っていれば、万が一事故が起きても「最善は尽くしていたので…」という、(漫画に出てくる政治家のような)発言も多少は通じるでしょう。しかし、太陽政策オンリーだと、責任放棄と言われても言い訳ができませんからね。



最近のこの流れに対して、感情の赴くままにエントリしてみました。書いたらちょっとすっきりしたけど、本質的なことが解決されたわけではありません。ここで思考停止するのではなく、自分なりの答えも考えていかないとなぁ。もちろん、すぐに答えが出る問題ではないでしょうけど。

*1:この方向に走って、逆にモチベーションが上がるということもありますが。